教師のための統計入門-053/233page

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第3章 標本抽出法

1. 標本調査

わたしたちが,統計をとる目的は,母集団の特徴をつかむことにありました。

母集団全体についてのデータを集めることを,全数調査といいます。全数調在の例としては,5年ごとに,人口を知るために実施している国勢調査,高い精度の要求される精密機器(人工衛星や航空機の部品)などの調査があげられます。

しかし,全教調査には,時間と経費と労力とが必要とされますし,場合によっては,集計ミスなどの誤りが重なって,精度がわるくなってしまうようなこともあります。また,例えば,カンヅメの中身,鉛筆の芯の強さ,電球や蛍光雌の耐久時間などは,ひとつひとつ全部検査していたのでは,商品となるものが無くなってしまいます。

このようなことから,20世紀にはいって,母集団全体について調査するのではなくて,母集団から任意に抽出した一部分,任意標本を手がかりにして,逆に母集団の特徴を,確率を用いて推測しようという研究が,ゴーセット(ペンネームはスチューデント,英1876〜1937),フィッシャー(英1890〜1962),ネイマン(ポーランド1894〜),ワルト(米1902〜1950)らによって始められ,これが発展して,現在の推測統計学がつくられました。

ところで,母集団の特徴を,その一部分である任意標本からつかむために行う調査を,標本調査といいます。

標本調査は,推測統計学の代表的な研究分野の一つであり,標本調査の理論的根拠は,推測統計学によって与えられます。


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