教師のための統計入門-081/233page

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て,その差 -X1-X2 は 0 から,かなりへだたった値をとることになり,それに従って z の値も 0 からかなりかけはなれた値をとることになるでしょう。

z のこの性質を用いて,仮説 H0:m1=m2 が真であるかどうかを検定しようというわけです。さて,それでは, z がどれだけ 0 に近ければ,この仮説 H0 を認めるのか,どれだけ大きかったらこの仮説H0を認めないことにするのか,それを判定する境界値はどのようにして決めたらよいのでしょうか。

ここで,定理は,この z が,平均値 0,標準偏差が 1 の正規分布に従うことを教えています。

そうしますと,いま,実際に任意抽出した手もとの二つの標本の平均値 x, x2 を用いて計算した境界値は,平均値が 0, 標準偏差が 1 の正規分布から任意抽出された一つの値だと解釈してよいことになります。

平均値が0,標準偏差が1の正規分布をなすデータ

上の図からわかりますように,平均値が 0, 標準偏差が 1 の正規分布をなすデータから,一つの値を任意抽出したとしますと,その値は,95% の確率で,(-1.96, 1.96)の区間(これを, |z| <1.96 と表すこともあります)から抽出されたと考えられ,左右の両極端 (-∞, -1.96) または (1.96, +∞) の区間内 (これを |z| ≧1.96 と表すこともあります)から抽出されたと考えられる確率は,わずかに5%というわけです。

つまり,仮説 H0:m1=m2 のもとでは, z の値は, |z| <1.96 の区間内の値をとることは,「よくあること」であり, |z| ≧1.96 の区間内の値をとることは「まれなこと」と考えられます。

それで,いま, z の値が5% 程度の確率でしか出現しないはずの,両極端の |z| ≧1.96 の区間内にある値をとったとすれば,この仮説 H0:m1=m2 は真ではない,と判定してこれを棄却し,対立仮説(この仮説 H0 が棄却されたときに


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