教師のための統計入門-083/233page

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合わせた確率の大きさで表現することにして,有意水準5% (著しい意味のある値と判定するのは,両端合わせた―ときには片側だけを考えるときもありますが―5% の確率でしか起こらないような値をとったとき)とか,有意水準1% (著しい意味のある値と判定するのは,両端合わせた1% の確率でしか起こらないような値をとったとき)というわけです。

ですから,その内容は,危険率5%,危険率1% の内容と全く同じなのです。

危険率(有意水準)は,その場合の必要度によって,何% を用いてもよいのですが,大体は5%,厳密さが要求される場合には1% が用いられます。さて,zの値が,危険率5% の棄却域に入れば,危険率5% で有意である,または, -x1 -x2 の間には,有意の差があるとか,有意差ありといって,(この例では, z の値―そして理論上この値で -x1 -x2 との差を測っているのですが,その差一が,仮説 H0 棄却するに足るほどの意味のある著しいものである,ということの表現です。したがって,この結果,仮説 H0:m1≠m2 は成り立たないと判定して,)仮説 H0:m1=m2 を棄却し,対立仮説 H1:m1≠m2 を採択します。

もしも, z の値が,危険率5% の棄却域に入らなければ,危険率5% で有意でない,または, -x1-x2 との間には有意の差がないとか,有意差なし,といって,仮説 H0:m1=m2 は棄却しません。仮説 H0 を棄却しない,という意味は,仮説 H0 を棄却するだけの根拠がない,ということで,積極的に,この仮説H0が正しいということを主張するものではありません。まあ,いまのところ,この仮説 H0 の成立を認めておこう,ぐらいの気持ちで, m1=m2 として扱っていくのです。しかし,多くの本では,「仮説 H0 を棄却しない」を,「仮説 H0 を採択する」と表現しています。これは,あくまでも消極的に,「一応仮説 H0 を採択しておく」という意味に解釈します。

上に述べたように,棄却域を両側に考える検定を,両側検定といい,これに対して,片側にだけ考える検定を片側検定といいます。片側検定は,なんらかの強い根拠によって,一方の側は,検出する必要がないと判断される場合にのみ行われます。この本では,両側検定についてだけ述べてあります。

さて,これまで, z の値を求めるのに,実は,σ12 の値を既知として話


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