教師のための統計入門-084/233page
を進めてきました。もちろん,これらの値が既知のときは,以上述べたようにして,母平均の差の検定をすればよいのですが,ふつう,母標準偏差σ1,σ2の値は未知ですから, z の値は計算できないことになります。
しかし,この場合でも,とくに標本数 n1, n2 が大のとき,目安としてともに100以上(本によっては,ともに約50以1,2 を,標本標準偏差 s1, s2 で代用してこの検定を行います。これは, n1, n2 が大のときは,このようにしても,そう大きな違いはない,という経験から考え出された便法です。
以上から,この場合の検定の手順をまとめますと,次のようになります。
次に,この〔4〕を用いて,例題を解きましょう。
(例12) (例9)の結果について,県と国の平均値には,差があるか。危険率5%で検定せよ。
15歳男子走り幅とび 区別 標本数n 平均値-x 標準偏差s 県 n1 1236 -x1 437.4 s1 39.9 国 n2 563 -x2 441.3 s2 44.3
(解)〔3〕に従って考えます。