教師のための統計入門-095/233page
られますから, t の値は 0 に近い値になります。もしも,仮説 H0 が真でなければ, -X1, -X2 の差は大きくなり, t の値は,プラスやマイナス方向に, 0 から大きくずれた値をとることになるでしょう。
t のこの性質を利用して,仮説 H0 : m1=m2 が真であるかどうかを検定するのです。
ところで, t分布は,下図のように,正規分布に似た,縦軸に関して対称なグラフになります
(注) 前にも説明しましたが記号 t (n1+n2−2,α)は,自由度が n1+n2−2 の t分布の,危険率両側合わせてαの棄却域の上側境界値を表します。t' (n1+n2−2,α) は,下側境界値を表しますが,これは, t (n1+n2−2,α) の符号を変えたものに等しい。さて,いま,手もとにある二組の任意標本から
を計算して,この t の値が, 0 からのへだたりの大きい
○ 危険率αの棄却域に入れば,有意差ありといい,仮説 H0 を棄却し対立仮説 H1 をとる。すなわち,危険率αで,2つの母平均には差がある(二つの母平均は異なる),といいます。
○ 危険率αの棄却域に入らなければ,有意差なし,といい,仮説 H0 は棄却しない。すなわち,危険率αで,二つの母平均には差があるとはいえない,といいます。
ところで, t分布表は,自由度と,それに対する両端合わせた確率αの,上側の境界値とを表にしたものですが,これだけで十分間に合うのです。