教師のための統計入門-102/233page
ここで,いまの二つ母一集団からそれぞれ実際に抽出された任意標本の比率を p1,p2 としますと,
は,標準正規分布から,任意に抽出された1つの数値と考えられます。
ところで,この場合,母比率 p1(=p2) は不明ですから,このzの値は計算不可能です。それで, n1, n2 がどちらも大のとき,目安としてどちらも100以上のとき, p1(=p2) の代わりに p=r1+r2/n1+n2 を代用して検定しようというのですから,結局,大きさ n1+n2 の標本のうち,目当てのものが r1+r2 個だけ出現したわけですから, p=r1+r2/n1+n2 を p1(=p2) の推定値として用いるのは当然のことでしょう。また, r1=n1-p1, r2=n2-p2 ですから,とも表せます。もちろん,q=1-pで,
上式(※)は
この両辺の絶対値をとったものが,〔7〕の2の |z| の式なのです。
(例17) 次の表は,昭和45年度,53年度に,それぞれ県下の6年生から,任意標本を抽出して実施した算数のテストの正答率の一部である。
年度によって,県下6年生全体の正答率に差があるといってよいか。
小問番号
/標本数
/年度45 53 887 1110 1 68.1 71.5 2 80.0 84.3
(解) ○小問1について,
1. 仮説 H0:p1=p2, 年度によって正答率の差はない,とします。
対立仮説は H1:p1≠p2
2.