教師のための統計入門-104/233page
(1) 適合度の検定
これは,与えられた標本を手がかりにして,母集団分布が,ある分布に適合するか(当てはまるか)どうかを検定するものです。
この検定は,次の(定理6)を根拠にします。
(定理6) 母集団A は,互いに共通部分のないκ個のグループ A1, A2,……,Ak から構成されているものとする。この母集団から任意に大きさnの標本を抽出した結果が(表イ)であったとする。
(表イ)
A1 A2 - - Ak 計 観察度数 f1 f2 - - fk n
このとき,仮説 H0 :「母集団は,これこれの分布に従う」のもとに計算された理論度数(期待度数)が,(表ロ)のようになったとすると,
(表ロ)
A1 A2 … … Ak 計 理論度数 F1 F2 … … Fk n
観察度数,理論度数ともに5以上の場合,
X2 =(観察度数-理論度数)2/(理論度数)の総和=
は,ほぼ,自由度κ-1の X2 分布をする。
この(定理6)を用いた X2 検定について,大まかに説明しておきます。
帰無仮説 H0「母集団は,これこれの分布に従う」のもとで,観察度数fiと理論度数 Fi との差が小さければ小さいほど,単位当たりのくいちがいを表す (fi−Fi)2/Fi の値は小さくなり,その総和 X2 も小さくなりますから,このとき,手もとの標本は,「これこれの分布に従う母集団」からの任意標本である。と一応みることにするのです。そうみることは,結局仮説 H0 「母集団は,これこれの分布に従う」を認めることになるわけです。(本当は,仮説 H0 を否定す