教師のための統計入門-105/233page

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るものがない,というだけなのですが)

これに対して, fi と Fi との差が大であれば,単位当たりのくいちがいを表す (fi−Fi)2/Fi は大きくなり,その総和 X2 も大きくなりますから,手もと Fi の標本は,「これこれの分布に従う母集団」からの任意標本ではないと判定します。この判定は,結局仮説 H0「母集団は,これこれの分布に従う」を認めない判定をくだしたことになるわけです。

それでは,この X2 の値(くいちがいの大きさ)の大小は何によって判定するのかといえば,それはこれまでの検定の場合と全く同じで, X2 分布の,危険率α(αは,ふつう0.05か0.01)の棄却域の上側境界値との比較によって判定します。(X2 の値は正ですから,くいちがいの大きさは,上側で判定します。)

(注1) (表イ),(表ロ)の fi, Fi は度数です。百分率では, X2 検定はできません。

(注2) 観察度数,理論度数の中に,5より小のものがあるときには,

○ Yatesの修正を行った X2 の値を求める。

x2の値

または,

○ いくつかのグループを合わせて,度数を5以上にして検定する。

(注3) 

(注3)と変形できます。

(注4) この場合の X2 分布の自由度について説明しておきます。X2 分布は,自然数 m によって定まる分布で,この m のことを自由度といいます。この定理の場合, k 個の変数 f1, f2,…, fk が,一つの条件 f1+f2+…+fk = n (κは定数)

のもとに動くので,実際は独立な変数が k-1 個となり,理論的に, m のところが, k-1 となった X2 分布の式が導かれる,というのです。この場合の自由度は,グループの数κひく 1 です。


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