教師のための統計入門-168/233page
抽出の場合は,一組の標本のデータの中に,同じものが何度も重複して抽出されることもあるのに対して,非復元抽出の場合は,一組の標本のデータは,すべて異なり,それだけ情報の質が良いことになり,したがって,精度も良くなる,というわけでしょう。
(注2) N→∞のとき,N-n/N-1→ 1ですから,σ2/x σ2/n
したがって,無限母集団の場合や,Nが極めて大の有限母集団の場合には,復元,非復元の違いは無視することができます。
(注3) (中心極限定理)母平均が m, 母分散がσ2の母集団から,大きさ n の独立標本を抽出したとき,標本数 n が十分大きければ,標本平均 -X の分布は,平均値が m, 分散がσ2/n の正規分布で近似される。
○ 復元抽出法によって得られた標本は,独立標本です。
○ 有限母集団(大きさを N とする)から,非復元抽出法によって得られた標本は,独立ではありませんが,このときでも, n が十分大のとき, -X の分布は,平均値が m, 分散が N-n/N-1・σ2/n の正規分布で近似されます。
もちろん, N が n に比べてはるかに大のときは, N-n/N-1 をほぼ 1 とみて,分散はσ2/n とみておいてよいわけです。
次に,(定理1),(定理2)の内容を,簡単な具体例で示しておきます。