教師のための統計入門-198/233page

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2. 研究主題と仮説の設定について

ある指導法について,過去の経験(文献研究,実践,同僚との話し合いなど)から,「ここのところは,こんなふうにやったら」というようなアイディアがあって,これを確かめる(追試する)ための実験研究においては,すでに研究主題も仮説も設定されているわけで,この場合の研究の進め方は,前に述べた3)の段階から進めればよいわけです。

ここでは,1)の段階からこの研究に取り組む場合のすすめ方について述べていくことにします。

さて,研究主題は,自校の児童・生徒の実態(観察,調査,テスト結果など)から掘り起こした学習指導上の問題点について,これの解決をはかるために,これから研究しようとする内容を端的に表現したものです。

したがってそれは,具体的で,限定的で,かつ焦点化されたものであるべきです。単に,机上で考えたような,問題の大きすぎる研究主題,概括的,一般的,抽象的な研究主題などは,研究主題の名に値しません。

漠然と問題点を考え,漠とした研究主題を掲げたとしても,さてそれからどうするか,漠として,研究は一歩も進めることはできないでしょう。研究主題の良しあしは,研究の成果を大きく左右するものであることをまず銘記してください。

それでは,次に,研究主題はどのようにして設定するのか,これについて説明しましよう。

問題意識を持たないところに研究はありません。

研究主題の設定は,まず,問題を明確にすることから始まります。学習指導上の何が,どこが問題なのか,観察,調査,テスト結果などをよく検討し,問題点を明らかにしていきます。そしてこの段階で,自分が何について研究するのか,したいのかを一応まとめて,仮の研究主題を設定します。

このようにして問題点を明確にし,焦点化していくうちに,その問題が何に起因しているのか,その原因が何であるのかがおぼろ気につかめるようになってきます。


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