教師のための統計入門-199/233page

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次には,この原因を追求します。原因は,いろいろと複雑なものがからみ合っていて,簡単に「これだ」とはいい切れない場合が多いのですが,そのうちとくにこれが大きく働いているのではないかと思われる原因をつきとめます。児童・生徒の実態から掘り起こしたままの問題点は,いわば,表面に現れた問題点ですから,何ゆえそのような問題点が現れてきたのか,その原因となる問題点を追求するのです。

このようにして,原因となる問題点をつきとめたら,次には,この問題点をいかにして解決するか,その解決策を考えます。原因となる問題点の解決によって,表面に現れた問題点の解決を図ろうというわけです。

この原因となる問題点に対する解決策(アイディア,ここでは新しい指導法)は,その問題点が,明確に,焦点化された時点では,当然の帰結として,割合すんなりと生み出せる場合もありますが,ふつうは,その時点でも,なかなか容易に生み出せるものではありません。

良い解決策(アイディア=新しい指導法)を生み出すこと,これが,この研究での最も重要でかつ最も苦しいところですが,それだけに,苦労の結果,良いアイディア(と思われるもの)が生み出せたときには,その喜びは大きいものです。それは,新しい発見の喜びです。

このアイディアは,日夜考えに考えて,ある日あるとき突然に,「こうしたら」とひらめく場合が多いようです。一見何の脈絡もなく,一瞬のうちにジャンプして,高所に立ってしまったような気がするものですが,実はそうではなく,それまでの自分の全経験を総結集して思考し,その問題点に立ち向かった結果のジャンプ(飛躍)なのであって,ひとたびアイディアが得られてみますと,その問題点の解決への道筋が,高所から一目のうちに見えてしまうような気がするものです。

ところで,良いアイディア(と思われるもの)が生み出せたからといって,本当は,この段階では,手ばなしでは喜べないのです。それは,ここで得られたアイディアは,まだ授業(実験)におろされ,その効果が確かめられたものではないからです。授業(実験)によってその効果のあることが確かめられて,


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