研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-001/170page

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1「現代社会」の性格とねらい


 新しい必修科目として,「現代社会」が新設きれ,昭和57年度から実施される。今まで各種研究会等において,この科目の新設の背景,目標及び内容構成などについて様々な考え方が示された。その中に成立当初の社会科の精神を見なおし,社会科成立の原点にもどって考えてみようということが,「現代社会」新設の背景の一つであるという指摘がある。そこで,以下に教育課程の変遷を簡単にたどってみる。

1「現代社会」新設の背景―教育課程の変遷を通して―

(1) 社会科の成立とその性格

 昭和20年12月,GHQが出した「修身,日大歴史及び地理」の三教科停止命令を含む教育の四大指令により,我が国の教育は大きく変わり,様々な論議を経て新しい教科として社会科が成立した。それは,昭和22年5月発行の「学習指導要領社会科編1(試案)」(小学校の社会科のためのもの)や同年6月発行の「学習指導要領社会科編2(試案)」(中学校・高等学校の社会科のためのもの)に基づいて,同年9月から実際に授業が開始きれた。
 社会科の性格について,学習指導要領社会科編1(試案)は「社会科は,いわゆる学問の系統によらず,青少年の現実生活の問題を中心として,青少年の社会的経験を広め,また深めようとするものである。(中略)将来,倫理学,法律学,地理学,歴史学を学ぶ時の基礎となるような身についた知識や考え方,能力・態度は,社会科においてより発展せしめられるであろう。このような意味において,社会科は学校・家庭その他の校外までも及ぶ,青少年に対する教育活動の中核として生れてきた新しい教科である。」と説明している。
  さらに,学習指導要領社会科編2(試案)は,小学校から高等学校第1学年までの10年間実施された「一般社会科」について,「これまでは,社会科の内容となっている歴史,地理,公民などはいずれも別々の教科として扱われてきたのであるが,一般社会科としては,中学校あるいは高等学校の生徒の経験を中心として,これらの学習内容を数個の大きい問題に統合しているのであって,教科そのものの内容によって系統だてるようなことはやめにした。」と述べている。このことは,「一般社会科」が総合社会科であることや単元構成による問題解決学習を基本とすることを示している。
 しかし,図1に示したように,高等学校社会科は総合社会科ばかりで構成されていたわけではなかった。第2学年,第3学年に東洋史,西洋史など四つの選択科目が置かれていたことは,総合的ないき方に立ちながらも,教科の系統を考慮し,分化した社会科を出現させる構造になっていた。これは,後に「問題解決学習」か「系統学習」かという論争を呼びおこす大きな問題を内包していたのである。

(2) 第1次改訂―昭和26年版学習指導要領―

 昭和22年から実施された社会科に対し,ほとんどの教師は大変戸惑いを感じたといわれている。


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