研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-007/170page

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る力」の二つの能力を,「広い視野に立って」育成するものであることを示しており,この科目の独自な目標である。

(4) 人間生活の向上を図り,進んで国家・社会の進展に寄与しようとする態度を養う。
これは,「国家・社会の有為な形成者として必要な公民的資質を養う」という社会科の教科目標に基づいて,「現代社会」が育成しようとする態度について示したものである。

4 「現代社会」の取り扱い上の留意点

当教育センターでは生徒に自ら学び、自ら考える力を身につけさせるにはどうしたらよいかということを「現代社会」の研究資料作成の課題としてきた。これは,従来の社会科が,ややもすると知識の詰め込みに終始しがちな学習であったことを反省して,生徒が主体的に学習に取り組むことによって,学び方を習得し,学ぶ喜びを味わい,自ら考える力を培うことが大切であると考えたからである。
また,進学率の上昇に伴って,高等学校は青少年のほとんどすべての者を教育する国民的教育機関としての性格が強く,生徒の興味・関心や能力・適性もきわめて多様化している。したがって,学習指導に当たっては,生徒の実態を把握し一人ひとりの個性に応じた展開が求められている。
これらの現状をふまえて,「現代社会」の取り扱い上の配慮事項を述べてみる。

(1) 年間指導計画の作成

1) 地域,学校,生徒の実態に応じて作成する。

学習指導要領の内容の配列は,学習の順序を示すものでないことは周知のとおりである。また,項目一つで,一つの単元構成を意図しているものでもない。あくまでも,地域,学校,生徒の実態に応じて,指導内容を様々に構成することが可能である。

2) その学校の生徒のもつ一般的傾向としての特徴を的確に把握し,それを活用して生徒の実態にあった指導事項を取り上げる。生徒の実態は,例えば次のような事柄について調査することによって把握される。

○ 学校をとりまく地域の特色
○ 情緒の傾向,性格の傾向における特徴
○ 生徒の興味・関心の傾向とその特徴
○ 生徒の経験の内容,程度
○ 地理的意識,歴史的意識,社会的意識
○ 中学校までの社会科学習の成果

3) 指導内容を精選する。

従来,高等学校の社会科の教師は,長い社会科教育の過程で形成された「常識」―あることを教えるとしたら,これとこれは教えておかねばならないというふうに考える常識―をもっていることが多い。それゆえ,指導内容が大量で複雑となり,生徒にとって社会科は魅力のない教科になってしまった。「現代社会」の指導に当たっては,この常識を打破しなければその趣旨を生かすことができないと考える。

そこで,「現代社会」の年間指導計画を作成する上で,指導内容の精選が重要な課題となる。


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