研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-008/170page

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指導内容を精選するということは,社会科の目標や「現代社会」の目標に沿って,学習内容を構造化し,生徒に考えさせるべき問題を明確にすることである。言い方を変えれば,教師自身が教えようとする内容の本質を追求し,何が授業の核となるものかをとらえることが大切である。
また,社会と人間についての基本的事項を明確にして指導内容を構成することも重要である。
このように指導内容を精選して年間指導計画を作成すれば,どうしても時間をとって探究しなければならない場面に直面したとき,生徒が十分時間をかけて考えることのできるゆとりも生まれてくる。

4) 中学校の社会科や高等学校の社会科の選択科目との関連を図る。

中学校の社会科で指導する内容を的確にとらえ,きらに「現代社会」で指導しようとする内容に関連して生徒がどのような既有の知識や能力を身につけているかを把握することが大切である。
また,高等学校の社会科の選択科目との関連については,「現代社会」が選択科目の基礎であり,この科目を学ぶことによって選択科目への興味・関心を喚起するような発展が期待きれていることに留意しなければならない。したがって,内容(1)又は(2)のいずれにも偏らないような年間指導計画を作成する必要がある。

5) 教材・教具を生かした指導計画を作成する。

「現代社会」を担当する教師は,「現代社会」の専門家ではない。「現代社会」で利用できる教材・教具は社会科の教師全員で整え,「いつでも,だれでも,簡単に」利用できるように整備し,しかも年間指導計画に明示しておく必要がある。

6) 社会科教師全員で指導計画を作成する。

年間指導計画は,その学校の社会科の教師が全員で作成する。そうすることによって,どの科目を担当する教師も「現代社会」の授業を受けもつことが可能になるからである。

(2) 指導方法の工夫

「現代社会」の指導の効果を上げるには,何をどのように指導したらよいかという問題のうち,「どのように」という指導方法(学習の進め方)について十分工夫する必要がある。これは,生徒が授業についていけない原因として,科学技術の発達や社会の進展に伴う教育内容の高度化のほかに,内容を伝達する指導方法の問題があげられるからである。従来から指導に当たっては,種々の資料の活用や調査,討議などによる自発的な学習の展開など様々な工夫が試みられてきた。「現代社会」の性格から,特に指導方法について工夫すべき点を述べてみる。

1) 様々な資料の活用とその提示の合理化を図る。

社会科学習で活用される資料には,地図,年表,図表,統計,新聞,写真,文書,史料,スライド,映画,テレビ,ラジオ,テープなど様々なものがあげられる。また,身近な,日常生活の中にはんらんしている各種の情報や生徒自身の様々な経験の中にも資料として活用できるものが数多くふくまれている。これらの資料を適切に活用するため,次の4点に留意する必要があろう。
第1には,資料を学習過程のどの部分にどのように位置づけるかが大切である。それは,資料を学習のねらいに即して吟味することはもちろん,それらの資料を学習過程の導入,展開,整理のどの部分で活用するかを検討することである。さらに,

ア 学習への興味・関心を引き起こし学習意欲を高める
イ 直接経験の代用として間接経験を利用したり,あるいは直接経験を補充したりする


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