研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-084/170page

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資料1) 石油にささえられた日常生活

日大の産業は,基礎産業をはじめ石油にすっかり依存するなかで高度成長をはかり,巨大な生産をあげてきたが,その結果わたしたちの生活もまた,石油の洗礼をくぐったことのない製品を見出すことのほうが困難なくらいどっぷり石油にひたりきってしまった。身の回りをながめ,一つひとつ確認してみるとその浸透の深さに愕然とせざるを得ない。
わたしたちの生活は,朝の起床から夜の就寝までのあいだ,石油にすっかりとりまかれている。
<出勤前>起床後,最初に手にした歯ブラシ(プラスチック)。朝食を並べたテーブル(合板)。オシャレの出発点,下着とくつ下(合成繊維)。いずれも石油製品。
<出勤途中で>団地から駅までのバスも石油製品のかたまり。燃料はもちろん,塗料,タイヤ(合成ゴム),座席(合成皮革),つり革(プラスチック)。駅の改札口で差し出した定期入れ(合成皮革)。車中で広げた週刊紙からも石油の"におい"がした(インク)。
<オフィスで>同僚とあいさつをかわして席についた途端,がっくり。あたりを見回しただけでも机(合板),イス(合成皮革),窓口の表示板,電話機,電算機のキー,ボールペン(いずれもプラスチック)……。「どうしたの」と上司が声をかけてくれた,そのメガネのフチもプラスチック。
<スーパーで>帰宅途中,駅前のスーパーでショッピング。パッと目にとびこんできたニューファッションのセーターとスカーフ(合成繊維の毛糸・染料),天井の断熱材(合成樹脂),帰りを待つ母親のために,夕食の惣菜を買ったら,ヒラメの切り身もピーマンもポリエチレンで包装されていた。
<再び自宅で>台所にも石油製品がいっぱい。マナ板,包丁の柄,みそ・しょうゆの容器(プラスチック)。化学調味料をふりかけながら「これも石油よ」といったら,母親(50)が目をむいた。夕食後みたテレビもキャビネットからコードまで合成樹脂だらけ。
"石油点検"にすっかり疲れ切ってフロに入ると浴槽,スノコ,洗いオケ(プラスチック),シャンプー(合成洗剤)までも。
夜具の一部も合繊,寝間着のボタンもプラスチック。これは東京武蔵野に住む銀行員の女性が,石油製品を総点検しうと思いたってメモしたものである。

(『石油文明と人間』農文協文化部 P70〜73)

家庭での石油エネルギー消費の推移

家庭での石油エネルギー消費の推移

(備考)  1. 通産省「石油統計月報」,運輸省「陸運統計月報」から作成。
2. 消費量は各石油製品の総和である。
 (経済企画庁編『国民生活白書』昭和49年版 131ページ)

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