研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-127/170page
資料1) 成熟した人間の条件 ・G.W.オールポートの説く精神的に成熟した人の特性
a 自己を実現していくこと。
b 自己を客観的に見れること。
c 統一した人生観をもつこと。・J.E.アンダーソンの説く人格的成熟の条件
a 関心が自分にではなく,仕事に向いている。
b 明確な目標と能率的な仕事の習慣をもつ。
c 個人的感情を統制し得る。
d 客観性をもつ。
e 他人の批判や示唆を受け入れる。
f 個人の努力に対する責任をもつ。
g 新しい状況に現実的に適応する。資料 2) 青年期に果たすべき発達課題 a 身体的成長・生理的発達の変化への適応をなすこと。
b 家族よりの独立,両親へ感情的にあまり強く依存しなくなること。
c 自分の性の特性と役割を認め,異性に対して適応していくこと。
d よい職業を発見し,これにつくこと。
e 人生に意味と目的とを与える一つの哲学を形成すること。(S.R.レイコックによる)
資料3) 期待される人間像○ 個人として
1 自由であること
人間が人間として単なる物と異なるのは,人間が人格を有するからである。物は価格をもつが,人間は品位をもち,不可侵の尊厳を有する。基本的人権の根拠もここに存する。そして人格の中核をなすものは,自由である。それは自発性といってもよい。
しかし,自由であり,自発的であるということは,かって気ままにふるまうことでもなく,本能や衝動のまま動くことでもない。それでは本能や衝動の奴隷であって,その主人でもなく,自由でもない。人格の本質をなす自由は,みずから自分自身を律することができるところにあり,本能や衝動を純化し向上させることができるところにある。これが自由の第一の規定である。
自由の反面には責任が伴う。単なる物には責任がなく,人間にだけ責任が帰せられるというのは,人間は,みずから自由に思慮し,判別し,決断して行為することができるからである。権利と義務とが相関的なのもこれによる。今日,自由だけが説かれて責任は軽視され,権利だけが主張されて義務が無視される傾きがあることは,自由の誤解である。自由の反面は責任である。これが自由の第二の規定である。
人間とは,このような意味での自由の主体であり,自由であることがさまざまな徳性の基礎である。2 個性を伸ばすこと
人間は単に人格をもつだけではなく,同時に個性をもつ。人間がそれぞれ他の人と代わることができない一つの存在であるとされるのは,この個性のためである。人格をもつという点では人間はすべて同一であるが,個性の面では互いに異なる。そこに個人の独自性がある。それは天分の相違その他によるであろうが,それを生かすことによって自己の使命を達することができるのである。したがって,われわれはまた他人の個性をも尊重しなければならない。
人間性のじゅうぶんな開発は,自己だけでなされるのではなく,他人の個性の開発をまち,相伴って