研究資料分類基準G2-04高等学校社会科「現代社会」の研究-129/170page
生命の根源すなわち聖なるものに対する畏敬の念が真の宗教的情操であり,人間の尊厳と愛もそれに基づき,深い感謝の念もそこからわき,真の幸福もそれに基づく。
しかもそのことは,われわれに天地を通じて一貫する道があることを自覚させ,われわれに人間としての使命を悟らせる。その使命により,われわれは真に自主独立の気魂をもつことができるのである。○ 家庭人として
1 家庭を愛の場とすること
婚姻は法律的には妻たり夫たることの合意によって成立する。しかし家庭の実質をなすものは,互いの尊敬を伴う愛情である。種々の法的な規定は,それを守り育てるためのものともいえる。また家庭は夫婦の関係から出発するにしても,そこにはやがて親子の関係,兄弟姉妹の関係が現われるのが普通である。そして,それらを一つの家庭たらしめているのは愛情である。
家庭は愛の場である。われわれは愛の場として家庭の意義を実現しなければならない。夫婦の愛,親子の愛,兄弟姉妹の愛,すべては愛の特定の現われにほかならない。それらの互いに性格を異にする種々の愛が集まって一つの愛の場を構成するところに家庭の本質がある。家庭はまことに個人存立の基盤といえる。
愛は自然の情である。しかしそれらが自然の情にとどまる限り,盲目的であり,しばしばゆがめられる。愛情が健全に育つためには,それは純化され,鍛えられなければならない。家庭に関する種々の道徳は,それらの愛情の体系を清めつつ伸ばすためのものである。道を守らなくては愛は育たない。古い日本の家族制度はいろいろと批判されたが,そのことは愛の場としての家庭を否定することであてはならない。○ 社会人として
1 仕事に打ちこむこと
社会は生産の場であり,種々の仕事との関連において社会は成立している。われわれは社会の生産力を高めなければならない。それによってわれわれは,自己を幸福にし,他人を幸福にすることができるのである。そのためには,われわれは自己の仕事を愛し,仕事に忠実であり,仕事に打ち込むことができる人でなければならない。また,相互の協力と和合が必要であることはいうまでもない。そして,それが他人に奉仕することになることをも知らなければならない。仕事を通じてわれわれは,自己を生かし,他人を生かすことができるのである。
4 社会規範を重んずること
日本の社会の大きな欠陥は,社会的規範力の弱きにあり,社会秩序が無視されるところにある。それが混乱をもたらし,社会を醜いものとしている。
日本人は社会的正義に対して比較的鈍感であるといわれる。それが日本の社会の進歩を阻害している。社会のさまざまな弊害をなくすため,われわれは勇気をもって社会的正義を守らなければならない。
社会規範を重んじ社会秩序を守ることによって,われわれは日本の社会を美しい社会にすることができる。そしてその根本に法秩序を守る精神がなければならない。法秩序を守ることによって外的自由が保証され,それを通じ内的自由の領域も確保されるのである。
また,われわれは,日本の社会をより美しい社会とし,われわれのうちに正しい社会性を養うことによって,同時によい個人となり,よい家庭人ともなることができるのである。社会と家庭と個人の相互