研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-004/96page

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全人的な社会的適応能力であるべきでしょう。

 習熟度別学習を有効ならしめるには,まず教師の意識の変革が必要でしょう。少なくとも,従来,ともすればみられた,「すべての子供に,ひとしく基礎的学力をつけることなど,果たして可能か。」とか,「できない子は,生まれつきできないのではないか。」とする,いわば学力不可知論は,克服してかからねばならないと考えます。

 習熟度別学習では,「それができる,できない。」よりも,「どうしたら,それができるか。」がまず問題とされなければなりません。

3 習熟度別学習を能力主義に基づく教育である,と批判する人もありますが。

 憲法第26条第1項には,「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。」と定め,教育基本法第3条第1項には,「すべて国民は,ひとしく,その能力に応ずる教育を受ける機会を与えなければならないものであって,人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって,教育上差別されない。」と,規定しています。

 習熟度別学習は,「能力に応じてひとしく」行う教育の発展として考えられるべきです。したがって,平等主義と能力主義とを相入れない教育観としてとらえ,習熟度別学習を能力主義による教育として批判するのは,当たりません。能力を無視した画一的教育は,生徒一人ひとりの個性の発達にとって,プラスには働かないばかりでなく,結果的に,実質的平等を保障するものでもありません。

 ただ,その場合の「能力」については,弾力的,流動的,多面的にとらえるべきで,その意味で従来の学力観には大きな修正が求められているといえます。例えば,生徒の学力の発達段階における個人差まで,決定的な能力差のごとくみる学力観などは,改められねばなりません。


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