研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-005/96page

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4 学習不適応についての生徒の実態について知りたいのですが。

 全国の高校進学率が94%を越え,能力の多様化とともに,学習不適応,遅進生徒が多く出て,それが,学習意欲の減退や非行化の問題に連なるものとして多くの関心を呼んでいます。習熟度別学習は,かかる実態を背景として生まれてきたものです。そこで,学習に関する,遅進生徒や意識の実態を,「高校問題研究会」が行った諸調査をもとに,以下概観してみましょう。

 期待される学力の達成度が,どの程度以下ならば,学力遅滞なのか,のコンセンサスはありませんが,一応,「授業についていけない生徒」とみ,中学校における全科目の成績を,5段階相対評価に修正したとき,2.0未満の生徒を学力遅滞者とみなせば,その約7割がすでに高校に進学しております。この数値は,10年前と比べると倍増しており,高校を義務化すれば,さらに,1.5倍増加することになります(岡山,兵庫2県における推計)。

 学力遅滞現象が顕著になり始める中学校段階において,教師788名を対象に行った教師の判断による学力遅滞状況は,およそ次のとおりです。

 担当クラスについて,授業についていけない生徒の割合は,数学で,平均して,1年生で11.5%,2年生15.8%,3年生17.6%,英語では,1年生11.9%,2年生17.4%,3年生18.7%としています。理科,社会,国語では3学年を通してほぼ一定して,12%〜14%,その他の教科では,平均して,8%〜9%となっています。数学と英語については,学年を追って,学力遅滞者が漸増している点が注目されます。数学,英語は高度に抽象的なシンボル操作を必要とし,とくに,ある段階から次の段階に進むためには,それ以前の概念や法則の習得が不可欠となります。これに比べ,理科,社会,国語は,学年ごとにそれぞれ違った知識を習得しつつ,それを結合してゆくという性格をもっています。このような教科の特性も,学力遅滞を考える場合に大切になってくるでしょう。

 学力遅滞の原因に関する中学校教師の意識調査で,最も多い意見は,「学習


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