研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-025/96page

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3 習熟度と指導内容の組織化

10 「学習内容の習熟の程度」とは,どのようなものと考えたらよいでしょうか。

 「学習内容の習熟の程度」,いわゆる学習習熟度とは,ある時点における教科・科目の学習内容に対する知識の習得や理解の程度,あるいは技術や技能についての熟練の程度という意味です。

 今回の学習指導要領では,「能力別」という言葉をさけて,「習熟の程度」という表現を初めて用いましたが,このことは,いわゆる能力を固定的なものとはとらえず,生徒の努力次第で向上する余地のあるものとしてとらえている点で,従来の能力観や学力観に変革を迫るものです。

 「習熟(Mastery)」という言葉は,練習を繰り返すことによって,ある知覚,運動的技能の質や量が増進するという意味に用いられ,習熟が高度な水準に達した状態を「熟練」と呼ぶことから考えると,もともと,この言葉は,主に技能学習の場面で用いられてきた用語なのです。しかし,最近は,完全習得学習(Mastery Learning)の理論等の中で,技能学習の範囲を越えて用いられるようになってきました。

 また,知的な能力としての学力の内容に,習熟という一要素をつけ加え,習熟レベルに応じてその到達目標を段階的に定め,下位目標に到達させさえずれば,次の上位目標に到達させることができる,という階層的な構造をもつ学力観も見られるようになりました。

 完全習得学習は,シカゴ大学のブルーム教授らによって提唱されていますが,それによりますと,「生徒が学習内容を習得する場合の一人ひとりの違いは,適性,能力の違いというよりは,完全な習得に要する必要時間の量の違いである。」とし,「生徒に学習時間の量とそれに伴う生徒の努力と教師の援助を行


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