研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-026/96page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


うならば,学習内容は完全に習得させ得る。」という考え方のもとに,この学習法は,次のような方法で進められるとしています。

(1)まず,学習単元で達成させる目標を明確にし,すべての生徒に到達させる最低到達水準を定める。

(2)そして,教科内容を2週間程度の単位に分け,それが終わるごとに達成度テストを行う。

(3)このテストで一定の到達水準(例えば80%〜85%以上)に達したものには,新たに発展用の教材が与えられる。

(4)目標が達成されない生徒には,個に応じた教材を与えて治療的指導にあたり,最低到達水準の達成を図る。

 ところで,文部省の学習習熟度別指導研究校,福島県立須賀川女子高等学校では,「習熟度」を「新しい教材を学習するための基礎学力をどの程度習得しているかの度合い」としてとらえ,研究を進めました。学習の遅れがちな生徒は,基礎学力の不足によるものと考えられていますし,さらに,学習指導は「既知を土台として未知を開く能力を育てることにある。」ともいわれますので,習熟度をまず基礎学力の習得レベルとして押さえる視点は重要なことです。

 京都府における到達度評価研究では,「基礎学力」を教育内容の系統性と生徒の発達を考慮して具体的,実践的に到達目標化し,基礎学力を「基本性学力」(学力の習得レベル)と「発展性学力」(学力の習熟レベル)の二元構造においてとらえています。このうち,基本性学力についての到達目標は,すべての生徒に学力のふしとして欠かせないものについての完全習得をねらうものとして設定されるとしています。

 いわゆる,習熟度別学習を進める場合,指導の結果としての到達度には,それぞれ差異が生ずることは避けられないと思いますが,到達すべき努力目標を異にするのは適切でありません。学習指導要領に定める各教科・科目の目標は,すべての生徒が目指すものとして,同一でなければならないからです。

 全国の研究指定校では,学習習熟度を診断する場合,これに影響する主要因として,知能,学力,性格,学習環境などが考えられると仮定し,学力テストに加えて,諸検査を組み合わせ,その実態把握につとめていますが,その尺度


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。