研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-032/96page
を入れます。実線は,各問題についての正答者数を合計したときの区切りで,正答率の累積分布難易度などを示し,Pライン又はP曲線と呼ばれます。点線は,各生徒についての小問の正答数を合計したときの区切りで,生徒の得点の累積分布,学習の到達水準などを示し,Sライン又はS曲線と呼ばれます。
2 「つまずき」の診断
実線は,問題についての正・誤答数の境界線で,学習の到達水準の高い生徒ほど表の上の方に示されていますので,この線より上部に誤答が混入するということは,応答の態勢としては決して望ましいことではありません。この場合には,問題が妥当であるかどうか検討する必要があります。例えば,表2の問8は実線の上部に誤答が多く,しかも誤答のばらつきも大きいので,問題の内容,表現について検討が必要です。また,問題番号は,難度を予想して易から難に向けてつけてあるとすると,問7,8,9の結果はかなり予想と食い違っています。このような場合,生徒の実態をさらに検討するとともに,これらの内容に関する事項の指導については,きめ細かな配慮が必要になります。さらに,問19は中程度の生徒にもあまり定着していないので,定着するよう徹底させる必要があります。
点線は,生徒の学習の到達水準を示しているが,この線の右側に正答が混入している割合が高ければ,異質であると考えられます。例えば,Dの生徒やNの生徒は,正答と誤答が拡散した状態で分布しています。この二人は,かなり能力がありながら,学習にむらがあり,安定していない様子が読み取れます。Jの生徒についても,この傾向が見られます。いずれも日常の学習のあり方について,個別指導の機会を多く取り入れる必要があります。
Eの生徒からQの生徒まで上位4名については,習熟の程度が高く,おおむね目標が達成されたと考えられるが,Sの生徒の問14は,不注意によるミスのためかどうか調べてみる必要があります。Pの生徒以下については,正答率も低いので,到達目標を検討するとともに,さらに個別指導の機会を多くし,はげましながら習熟の程度を高める必要があります。Cの生徒については,かなり程度の高い問題もできているので,家庭学習の状況などについ