研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-033/96page
て尋ね,さらに個別化を図るようにします。Aの生徒は,程度の高い問題も解けているので,努力のあとが見られます。さらにより一層学習意欲が高まるように,適切な励ましが必要です。
3 学習推移表による個別診断
毎回のS-P表を分析し,個々の生徒の達成水準の変動を学習推移表に示すことによって,一人ひとりの生徒の学習推移をとらえ,個別診断が容易になります。学習推移表は次のようにして作ります。
S-P表の合計得点の平均点μを中心に,μ±σ/2(σ:標準偏差,正規分布のときμ±σ/2の範囲内に全体の約40%の生徒が占める。例えば,生徒数45人のとき18人)の付近で区切りのいいところに線を引き,上から区間を,それぞれ,A(高位),B(中位)およびC(低位)とします。このようなA,B,Cの区切り方は一つの一般的な方法ですから,実際にはS-P表を見た上で,その都度適当に基準を定めて決めればよいのです。こうして得られた分析データを学習推移表(あるいは学習推移のプロフィール)に書き入れていきます。このとき,教師自身が自分で書き入れていくことが大切です。教師が書き入れる際に,一人ひとりの生徒の顔,学習態度,発言などを思い出しながらA,B,Cを記入することは,個々の生徒を把握する上で大きな助けとなるからです。学習推移表をもとに個々の生徒の学習の達成水準の変動(例えば上昇形,下降形,不安定形などのパターン)の資料が得られ,生徒の個別指導が容易になります。