研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-038/96page
を保つ者とこれに追随するものとの間が,固定化する傾向があるので,生徒の実態に応じて,教材ごとにグループを編成し直すなどの配慮が大切です。
(2)等質小集団
学級内で習熟度別にグループを編成して,それぞれに適した学習を行わせようとするものだが,等質なので教師が指導しやすく,知識習得の効率をあげることができます。しかし,同一学級内での小集団編成であるので,劣等感等の心理面への配慮が必要で,特に習熟度の低い生徒に対しては「わかる」ことによって充実感,成就感が得られるように教材を工夫することが大切です。
3 習熟度別学級
習熟度の差の比較的大きい教科(英語・数学等)に対して,よく編成される学習集団です。この場合は,ホームルームはそのままで,教科の場合だけ他の学級で学習することになるので,次の固定学級に比べて,比較的安定した状態での学習活動が期待できます。また,かなり等質になることから,習熟度に応じた教材での学習がなされるので,「わかる」ことによって学習意欲を喚起させることができます。この場合,ホームルーム学級より,科目別学級の数を増やせば,学級の人数も減り,学習の個別化を図ることもできるでしょう。
この編成を行うときの留意点は次のとおりです。
(1)学級編成をする際に,習熟度をどうとらえるかを,教材構造の分析とともに十分検討する必要があります。
(2)習熟度の低い学級は,学習速度を自然学級よりゆっくりさせるので,学習しやすくなります。しかし,習熟度が低いのに高い学級を希望した生徒や,習熟度が低い学級との境界域にある生徒が,習熟度の高い学級に入った場合,学習内容が高度なため,学習意欲を失う傾向がみられますので,これらの生徒に対しては個別指導を強化するなどして,習熟度の高い学級への適応を図ることが大切です。
(3)教室移動がたび重なると,校内での生徒の動向が掌握しにくくなります