研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-041/96page
の低い学級では,生徒の習熟度の高まりや意識の変化を常に評価して,より進んだ学級への移動が可能になるように配慮しなければなりません。このような観点から編成替えは重要ですが,これに伴って生じる問題点を,あらかじめ検討しておかなければならないでしょう。
(1)編成替えの回数
生徒の習熟度は常に変容しているものとすれば,年2回程度の編成替えは必要と考えられます。実践例によれば,1)単元ごとに行う場合 2)学期ごとに年2回程度行う場合,などがあり,後者の方が圧倒的に多く見られます。生徒の伸長度や努力の結果をその都度評価して,意欲の向上を図るという点では回数が多いほどその効果か期待できます。しかし回数を多くすると,それぞれの学級での学習方法や,教師の個性に慣れにくく,適応するまでの間,学習効果が落ちてくる傾向が見られ,また一方教師にとっては,授業対象生徒の掌握がしにくい面があるので,この点を考慮しなければならないでしょう。
(2)編成替えの資料
編成替えの資料は生徒の習熟度の高まりや意識の変化を評価して,次の学習への意欲の高揚を図るものでなければなりません。実践例では,定期テストや実力テストの結果で行った例が多く見られましたが,問題の作成は教材の構造や目標を十分検討した上でなされなければなりません。また,前にも述べたように生徒の希望を考慮することも大切です。
(3)編成替えと進度,教材内容
編成替えに伴う最大の問題は,各学級における進度と教材内容です。とくに,習熟度の低い学級の生徒か習熟度の高い学級へ進む場合,すでに習熟された内容が質,量ともに違っているので,高い学級への適応が図りにくいことです。実践例においてもせっかく高い学級に入りながら,この差を埋めることができず,学習意欲を失っている例が見られます。編成替えを容易にするためには,それぞれの学級での教材内容の構成を明らかにし,次の学習への基礎力を押さえておかなければなりません。また,教材の単元の構成内容が異なる場合は,スムーズな移行かできないので,少なくと