研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-042/96page

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も編成時期までには進度を合わせておかなければなりません。

(4)編成替えの人数

 編成替えは,習熟度の変容に合わせて行われるものであるから,とくに人数に制限を加える必要はありません。しかし,一度に多くの人数が入れ替われば,教師が生徒一人ひとりの習熟度を掌握しにくくなり,習熟度に応じた対応ができにくくなります。一方生徒側から見れば,入れ替えに伴う新しい学級への適応が問題となってきます。一度に多人数の編成替えが必要となる場合は,むしろ,習熟度の評価の方法や授業内容を検討してみる必要があるでしょう。

(5)編成替えと心理的影響

 習熟度の低い学級から高い学級へ移動する場合は,学習意欲の向上は見られますが,逆の場合は,劣等感などの心理的影響を無視するわけにはいきません。このようなことへの配慮として,習熟度の低い学級から高い学級への移動のみを認めた実践例があります。しかし,この場合は高い学級で不適応を起こした生徒へのきめの細かい指導が必要となります。

(6)評価

 評価の理論的根拠については,別の項で述べますが,編成替えを行うことを前提とした場合の評価は,多面的に行われなければなりません。少なくとも,各学級での個人の伸長度と最終到達度を評価しなければならないでしょう。すなわち,前者は習熟度別学級内で個人がいかに努力し,学習したかの評価であり,後者は同一教材に対してどこまで到達したかの評価です。編成替えを行うときは,後者の資料が有効となってきます。なぜなら,最終到達度は多くの場合,次の教材に対して,診断的評価の意味をもつからです。実践例においては,総括的評価として1)高,低学級共通 2)60〜80%を共通にして,20〜40%を習熟度に対応させた問題 3)低学級に合わせた内容で高学級と共通などの例が見られます。

 いずれにしても,生徒の学習へのフィードバックとしての評価と最終到達度の測定のための評価を,いかに調和させていくかが問題となるでしょう。


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