研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-062/96page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


いるわけですから,この意味で,日常の学習指導における絶対評価は,たんに絶対評価というべきものではなくて,むしろ,「相対評価を加味した絶対評価」というべきものなのです。

 以上,みてきましたように,絶対評価,相対評価は,それぞれ全く独立したものではなく,どちらの機能に重点を置くかによって,絶対評価,相対評価と呼んでいるにすぎないことがわかります。

 したがって,絶対評価であるべきか,相対評価であるべきか,などの論争は,あまり意味のないものであることも,おわかりいただけたと思います。

22 到達度評価について知りたいのですが。

 絶対評価は,教育目標である評価基準Aから,これを具体化した評価基準A'をつくり,このA'と個々の生徒の成績とを照合して,その達成の程度を判断する評価法でした。そして,この絶対評価の最大の短所は,このA'の作成についての一定の理論,方法がないということで,そのため教師の主観が大きく介入するというものでした。

 そこで,この短所を補うために,教育目標である評価基準A'から,これを従来よりは,より細かに分析し,具体化した評価基準A"(これを到達目標といいます。)をつくり,さらに,A"の達成の程度を判断するための到達基準(例えば,ある到達目標に対してこの問題で,正答率85%以上は十分到達,60%から85%未満まではおおむね達成,などの基準)をできるだけ客観的に定めて,これと個々の生徒の成績を照合して,その到達度を判定しようという評価法が考え出されました。これが,到達度評価といわれるものです。

 以上のことから,到達度評価は絶対評価であることがわかります。ところで到達基準は,基礎的な知識や技能に関する到達目標については,比較的設定しやすいのですが,高度の理解,思考,創造,表現等に関する到達目標になりますと,これに関する到達基準の設定は難しくなり,到達度評価にも,依然として評価の客観性,信頼性の問題が残ります。


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。