研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-063/96page

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 なお,到達目標を,達成目標,向上目標,体験目標の三つに区別して,到達度評価を考えるべきだとする説もあります。この説によりますと,

○達成目標とは,学習の結果完全に身につけることが要求される具体的な目標で,到達基準の設定が可能な目標をいいます。大体において,基礎的な知識,技能,理解に関する目標で,行動目標のかたちで記述されるものの大半は,この目標になります。

○向上目標とは,「何々についての理解を深める。」,「何々の態度を養う。」など,漠然と努力の方向を示すだけで,具体的な到達点を示し得ない目標のことをいいます。基本的には,個人内での比較(以前よりは…)や,他の人との比較(だれだれよりは…)という形でしか進歩あるいは向上・深化などが把握しがたいという性格のものであり,論理的思考力とか鑑賞力,指導力とか社会性といったような包括的で総合的な高次の目標がこれに属します。しかし,このような目標ではあっても,ある段階に達したときに示されるであろう態度や行動の外的特性(シンプトム)について,あらかじめ詳細な記述を準備しておきますと,このような目標に関する到達性も,近似的には確認できることになります。

 到達度評価に関する研究は,近年各地で盛んに行われてきていますが,それは主として,達成目標に関することについてのもので,この向上目標,次に説明する体験目標についての研究は,始められたばかりのようです。

○体験目標とは,生徒における何らかの変容を直接ねらうものではなく,例えば,触れ合い,感動,発見等,生徒の知的精神的成長のために重要な意味を持つと考えられる内的体験を得させることをねらった目標です。このような体験に関しては,その結果として,個々の体験に対応した観察可能な変化が生徒に見られるとは限りません。しかし,そのような体験が,学習者の中に生じたかどうかという意味での到達性の確認は,教師による観察や生徒の内観報告,作文などを通して行うことができるといわれています。

 以上説明しました三つの目標類型は,当然のことながら,互いに密接な関連を持ちますが,だからといって,例えば,達成目標を一つ一つ達成してゆけば


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