研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-076/96page
戦後は,民主主義の理念に基づき,教育基本法や学校教育法が制定,公布され,職業指導も教育の機会均等や個人の尊厳の重視という観点から再び用いられるようになりました。昭和24年には,「中学校・高等学校職業指導の手引」が刊行され(その後,約30年間に20冊が刊行),昭和28年には「職業指導主事」(昭和47年度から「進路指導主事」と改称)が,制度化されました。また,学校教育としての職業指導は,1)全生徒,すなわち,進学希望者,就職希望者,進路の定まらない者を対象とすること 2)卒業年度の生徒だけでなく,在学中を通じ長期にわたり指導すること 3)生徒の自主的な活動を主とし,計画,選択および適応の能力を育成することを,その主な性格としているものであり,就職希望生徒の指導ないし,就職あっ旋業務とみなす誤解を避けるためには「進路指導」を用いるべきである,という意見が高まって,昭和33年の「中学校学習指導要領」から「進路指導」と改められ,今日に至っております。
進路指導について,「中学校・高等学校進路指導の手引」の「高等学校ホームルーム担任編」(昭和50年)では,「進路指導は,生徒の一人一人が,自分の将来の生き方への関心を深め,自分の能力・適性等の発見と開発に努め,進路の世界への知見を広めかつ深め,やがて自分の将来の展望を持ち,進路の選択・計画をし,卒業後の生活によりよく適応し,社会的・職業的自己実現を達成していくことに必要な生徒の自己指導能力の伸長を目指す教師の組織的・継続的な指導・援助の過程である。」としています。
また,高等学校では,現行の「学習指導要領」(昭和48年)から,教育課程の「総則」に位置づけられ,新しく示された「高等学校学習指導要領」(昭和53年8月)には,「学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の能力・適性等の的確な把握に努め,その伸長を図り,生徒に適切な各教科・科目や類型を選択させるように指導するとともに,計画的,組織的に進路指導を行うようにすること。」(第1章 総則 第7款6の(2))となっております。
歴史の中で,以上述べたような取り組みがなされてきたにもかかわら