研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-080/96page

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28 習熟度別学習の中で果たすホームルームの役割について,知りたいのですが。

 アメリカの中等学校においては,教科の自由選択制や単位修得制がとられているので,学級の編成や生徒の成員が学習時間ごとに変わり,そのため生徒の管理や指導上の必要性からホームルームは生まれたのです。したがって,ホームルームは,学業成績,進路などの異なる異質集団であり,この点が教科学習の等質集団の学級とは異なっております。アメリカではその後,ホームルーム担任の指導はもっぱらスクールカウンセラーにまかせられ,したがってホームルームも下火になってきました。しかし,わが国では逆にホームルームとホームルーム担任の機能はますます大切になってきています。とくにカリキュラムの弾力化と習熟度別学習は,ホームルームの機能の見直しを迫っているといえるでしょう。

 新しく出された学習指導要領によって,教科・科目の選択がすすみ,習熟度別学級編成がなされることによって,ホームルームを基地として,生徒はそれぞれの学級に受講に出かけるということが多くなるので,今までよりも,ホームルームに対する生徒の連帯感や帰属意識が薄くなることが心配されます。したがってホームルーム導入の初期の理念を再確認した上,ホームルーム経営の工夫が大切になってくるわけです。

 習熟度別学習を実施するに当たり,生徒及び父兄へのガイダンスが大切であることについては,前述いたしました。学級編成に当たっては,生徒が優越感や劣等感等を抱くことのないように十分に配慮し,また,習熟度別学習が真の意味で生徒一人ひとりを生かす学習になるよう,ホームルーム経営からの取り組みも重要になろうと考えます。

 ホームルームは,学校における「家庭」ともいえるものであって,指導の立場にある担任や友情を深め合う友人との深い人間的なつながりが必要です。ホームルームは,基本的に次のような機能が期待されます。


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