研究資料分類基準F-201習熟度別学習研究の手引き-084/96page

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30 学習意欲を高める学業指導について知りたいのですが。

 習熟度別学習を実施する場合には,学業指導は必ずの要件です。「学業指導」と似たことばに「学習指導」があります。この二つのことばの違いについて述べてみますと,学習指導とは,教材についての理解や技能を高める指導が中心で,学業指導の方は,どのように学習をすすめたらよいか,また,どのようにすれば学習意欲が高まるか,ということの指導を意味するものといえます。しかし,習熟度別学習は,学習指導においても,学業指導的発想がなくては一時間一時間の授業も成立しない,とする考え方から生まれたものですから,今日この二つを区別することはあまり意味がないといえます。

 学業指導についてさらに詳しく述べていきますと,学業指導とは,生徒の教科・科目の選択に関する指導,学習不適応に関する指導,ホームルームにおける人間関係の調整及び進路相談など学校教育全体にわたって行われ,一人ひとりの生徒が教科・科目等の学習に積極的に取り組んでいけるための援助指導と解することができます。

 この学業指導によって,1)自己の学習に対して努力することが,自分の学業の目標を達成する上で最も大切であると自覚できる 2)学業の目標を達成することが,自分にとって可能であり,かつその達成への見通しと自信が持てる 3)学業の目標に向かって自分は進歩していると感じることができ,かつその過程において成就感が持てる,こういった三つの条件が満たされることが必要であり,そこから学習意欲も生まれるものと考えます。

 ところで,学習意欲とは「学習しようとする動機(欲求)を選択し,それを実現しようとする心の動き」と考えることができ,この学習意欲を向上させるためには,教師の教育的配慮と創意が発揮されなければなりません。教材の論理構造と生徒の心理構造をもとに分析がなされ,よく準備された授業は,生徒にとって「わかる授業」となり,学習意欲の乏しい生徒の数も減少するはずです。しかし,少数ではあるかもしれませんが,それでも授業になかなか乗れな


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