学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-002/222page

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普通,教育を意図的に実施している機関は,学校であり,そのための教育相談は,幼稚園をはじめとして,小学校から大学にいたるまでの教育場面を中心としながら,家庭と地域社会を含めた一切の問題を包含することになる。

このように考えてくると,教育相談の領域は前述の広義の立場をとらなければならなくなってくる。しかし,反面,カウンセリングについて考えてみると,次のような特質が考えられる。

○ 普通,一対一の面接の形で行われ,助力を与える側のカウンセラー(相談者)と,助力を受ける側のクライエント(来談者)のふたりの間の人間関係が基本になる。

○ カウンセリングの助力の手段は,クライエントの態度や表情などを大切にしながら,言語活動中心のコミュニケーションによる。

○ 両者の助力を求めたり,与えたりするコミュニケーションは,相互的で,その心理的場の接触は極めてダイナミックである。

○ カウンセラーは,できるだけ説得や強制・指示は行わず,クライエントが,問題を自主的に解決し,自己指導(自己洞察)ができるようにしでやる。

○ カウンセリングの直接の目的は,当面する問題の解決であっても,そのような経験をとおして,人格の成長・変容を期することが終局的に期待される。

○ カウンセリングは専門家による助力である。

以上のような,カウンセリングの特質からみて,教育相談の領域を狭義に限定し,「教育上の諸問題に関して,問題の解決と人格の健全な発達のために,個人的または集団的な接触をとおして,助力を与えようとするだけにとどまらず,すべての子供が可能性を自ら啓発し,自ら問題を解決し,その子なりの調和のとれた人間形成ができるような助力(専ら言語的手段による)をする専門的努力である」とおさえたい。


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