学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-007/222page

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るということは,大切なことである。授業において,すべての子供に教師が要求する水準が同じであるならば,能力の劣っている子供は,いつも成功感を味わう機会をうばわれていることになり,問題を起こすことになりやすい。そこで,親や教師は,その子供の発達や能力に応じた課題を与えるようにし,それができたら,認めてほめてやるようにしなければならない。

(4) 所属の欲求

同じ年ごろの友だちの仲間に入って,一緒の行動をとりたいという欲求は,幼児以降の子供にとっては非常に強いものである。だから,親が子供を保護しすぎて,外に出さないと,子供は心の中では友だちを求めながら,仲間に入れないために,社会性が十分に伸びず,不適応状態を起こしやすい。

(5) 独立の欲求

子供は大きくなるに従って,人から指示されたり,命令されたりするのではなく,自分の意志や判断で,何事でもやりとげたいという欲求を持つようになる。こういう場合に,親が専制的で自分の思いどおりに子供を動かそうとしたり,あるいは,溺愛しすぎて赤ちゃん扱いをすると,子供から独りで行動する機会をうばってしまうことになり,問題を起こすことになりやすい。特に,思春期にこの欲求が阻止される場合,ひどい反抗,非行などを引き起こすおそれがある。

以上が,普通,基本的欲求として取りあげている代表的なものであるが,これに,次のような欲求をつけ加える考え方もある。

(6) 新しい経験の欲求(探究への欲求)

(7) 安定感の欲求

(8) 支配と優越を求める欲求

(9) 経済的な欲求

(10) 生理的な欲求

2.適応の機制

一般に,基本的欲求が満たされた場合は,子供の心の中は平静で,均衡が保たれている。しかし,いったん欲求が阻止されて欲求不満が起これば,均衡状態が乱されて,心の中の安定が失われてくる。このように,心の中の安定が失


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