学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-011/222page

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ることがある。

たとえば,試験に対する準備ができていないで,それを苦にしていると,試験の当日になって,口実ではなく,本当に頭痛やめまいがして,学校を休まなければならなくなる。そうすると,困難な現実を避けることができるわけである。

また,周囲の人の同情や愛情を得るために起こるといわれるヒステリー発作は,病気への逃避の典型的な例といえる。

4) 現実への逃避

「現実からの逃避」とは反対に,生活がうずまいている現実の中に没頭することによって,不満や苦しみから逃れようとすることである。

たとえば,大人で家庭が面白くない人が,仕事をするのに,朝早く出勤し,夜おそくまでがんばっているのがその例である。

(5) 現実攻撃の機制

反抗機制とも呼ばれ,自己の欲求を通すために,反抗的,あるいは攻撃的行動にでるなど,手段を選ばない方法を用いる。この機制が永続化していくと,非行の原因になりやすい。

(6) 抑圧の機制

社会的にひどく非難されるような欲求を,みずから認めないようにすることであり,この機制では,欲求を満足させるような行動を禁止するだけでなく,欲求の表現をも禁止し,欲求そのものが存在しないかのように行動するわけである。

抑圧においては,欲求を満足させないで抑えつけることであるから,欲求そのものは存続しているので,心の中は不安定で,抑圧が不成功に終わる場合には,かえって不安が増大する。そして,それが極端な形をとった場合,「二重人格」が起こったり,「強迫神経症」や「うつ状態」におちいることになる。

(7) その他の機制

1) 取り消し(やり直し)

何か仕事をやってみて,それがうまくいかないために欲求不満が起こる。


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