学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-015/222page

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問題点を総合的に診断し,これを除去することによって,解決を目指そうとすること(診断的理解)であってはならない。表面的な現象の底流にある子供の気持ちや考え方を,ありのままに受けとめ,その過程で,子供が心を開き,自分で自分の気持ちを整理し,新しい行動を生んでいくようにすること(共感的理解)でなければならない。

この方法は,受容的であればあるほど,効果が期待できるものである。

3.主導権を子供に

対等な人間関係,強制されない自由な雰囲気の中で,子供はありのままの自分を出してくれる。それがありのままに,教師に受けとめられることによって,もっと理解されたいという欲求をもつものである。

教師は一切の批判や評価をしないで,理解に努め,もし理解が困難な場合であっても,謙虚に尋ねていくなど,子供の立場になって,子供の気持ちや考えを受けとめていくように努めなければならない。こうした時,子供は主導権を得て,自分で考え,自分で判断し,自分で自分のあり方を決定していくのである。

つまり,主体性を発揮して,自分で自分を指導していくという営みを続けることができるようになり,他律的な行動とは違った力強さと,責任をもった行動を展開していくのである。

4.共に歩む

子供の気持ちを受け入れるのには,子供の側に立ち,ありのままの姿に接しなければならない。

疑問は疑問として尋ねていく謙虚さや,教師という構えを,場合によっては捨てる人間としての純粋さが要求されよう。

このようなことが,子供への肯定的な関心となってあらわれ,子供は教師の存在を身近に覚え,安定感を抱くようになるのである。子供にとって,教師が共に歩んでくれることは大きな励みとなり,活動を一層活発にしていくことが期待されるようになる。


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