学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-017/222page
ぼう大な心理検査のデータを並べてみても,それだけでは,正確な診断を下すことはできないのである。
さて,心理検査について定義してみると,
「心理検査とは,人間の個人差を明らかにするために,客観点な,標準化された手順によって,行動の見本(言語的ないし非言語的な反応)について,測定を行うものである。その結果は,各個人の心理的特性の優劣が,客観的に与えられ,その比較が可能である」
ということである。
この定義づけから考えても,教育相談における心理検査は,医師が身体的診断を下すにあたって,レントゲン検査や血液検査,血圧測定などをするのに似ている。これらの検査・測定は,確かに有効なものであって,病気の症状によっては,診断にとって不可欠なものである。しかし,病気によっては,これらの検査・測定だけでは診断を下すことが危険な場合もあるし,まったく役に立たない場合もあることに注意したい。
一般的に考えて,心理検査は,
○ 問題がありそうに思われる点にさぐりを入れる。
○ 面接や観察によって得られなかった資料が正しいかどうか吟味する。
○ 面接や観察によって得られなかった資料を得る。
○ 長期にわたる面接や観察が不可能で,短期間に結論を出す必要にせまられている。
○ 子供や親に知的な情報を与えることが,相談の効果を高められると考えられる。
などの場合に用いられることが多い。
2.心理検査を選ぶ基準
一般的に心理検査を選ぶ基準としては,次のようなものが考えられる。
○ その検査は妥当性(測定しようとするものを適確に測定しているかどうか)が高いこと。
○ その検査は信頼性(何度測定しても同一の結果を得ることができるかどうか)が高いこと。