学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-023/222page

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第5章 テスト・バッテリー

1.テスト・バッテリー

心理検査には,さまざまなものがあり,それらは,それぞれ測ろうとするものを独自にもっている。

従って,個人をよく理解するため,あるいは,個人のある行動の要因を診断するためには,多くの特性について,多面的・総合的に診断することが必要である。

心理検査は,大別すれば,知能,学力,性格,適性及び環境についての検査があり,これらの諸検査を問題によって選択することにより,多面的に診断できる。

しかしながら,多面的な診断を求めるあまり,あれもこれもと,あまり多くのテストを用いると,結果の解釈に,時間と労力を費やしてしまい,総合的な診断ができにくくなってしまう。だから,対象となる問題の性質に応じて,慎重に,しかも最小必要な面から選択し,結果を求めて,能率的で,実効のある診断を目指さなければならない。

理想的には,診断しようとする問題に関して,仮説をたて,その仮説を検討するために,必要なテストを組み合わせるというやり方が望ましいのである。

このようなテストの組み合わせのことを,「テスト・バッテリー」と呼んでいる。

ここで注意したいことは,「テスト・バッテリー」によって,診断の方法が客観化され,科学化されたとしても,教育相談をまったくコンピューターシステムに乗せることはできないということである。

これは,検査をする人,される人,ともに,自然科学の対象とちがって,人間であるがゆえに,内的,あるいは,外的な条件によって,支配されやすいということからである。

2.テスト・バッテリーを編成するための前提

教育の営みは,子供を理解することから出発するとよくいわれている。しか


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