学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-024/222page

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し,ひとりひとりの個性とか,人格とかいわれるものは,きわめて複雑な構成をもち,その現れ方も多様である。教育活動の中で,ひとりひとりを最も望ましい方向に伸ばしてやることを考えれば,子供を理解するうえで,それらのことをできるだけ,多面的に,かつ,正確に把握することが必要であろう。

ところで,子供を正しく理解するためには,観察による資料,面接をして得た資料等,多面的に資料を求める必要がある。また,正しく理解するという裏には,客観的にという意味も含まれている。

特に,教育相談においては,教育上の諸問題を,本人や親などに,その望ましいあり方を助言,指導する必要があることから,客観的なデータの裏づけが,面接や観察の資料とともに期待されるのである。

しかし,前述したように,多面的・総合的な客観データを求めるあまり,知能・性格・適性と広範囲にわたって,あれもこれもと,断片的な情報を無目的に集めることは,全体的な把握にならず,かえって,意味のないものになってしまう危険性がある。だからといって,ひとつの検査で,個人のあらゆる能力特性をとらえようとしても,それは無理なことであり,子供のある一面しかとらえることができないことになる。

たとえば,知能検査は,知的能力に関する諸特性を客観的にとらえることができるが,性格に関する諸特性までとらえることはできない。

そこで,何について理解したいのか,必要な諸特性を明らかにしてかかることが大事になる。それらの諸特性を正しくとらえ,教育相談等の診断や指導に生かすには,いくつかの検査を組み合わせて,できるだけ有効で,かつ,多面的な資料が得られる工夫が必要になってくる。このことは,いわゆる利用目的に即したテスト・バッテリーの編成がなされなければならないということである。そして,綿密なテスト・バッテリーを編成することが,問題行動の徴候診断や原因診断を含めた多面的・総合的な理解の一助となり,教育相談の効果を高めるための補助的道具としての役目を目指したいものである。

3.利用目的によるテスト・バッテリーの編成

学校における教育相談を大別すると,

○ 学習の習慣や技術などの推進と援助にあたる学業指導に関すること。


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