学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-027/222page

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性格・情緒的な要因の多くは,環境的な背景によるところが多い。特に,親子関係・友人関係のゆがみは,性格や情緒的問題と関連が深いとされている。また,希薄な親子関係や友人関係のもつれも,不適応の原因となることがしばしば見うけられる。従って,上記の検査により,家庭環境や学校,学級における友人関係を診断することが大切である。

以上のように,問題行動の早期発見のためには,性格検査に加えて,親子,友人関係の検査を組み合わせて,問題要因を予測しながら,子供の内面の動きを具体的につかむことが大切になろう。

4.テスト・バッテリーを編成する有効性と限界

心理検査の組み合わせによって,ある問題行動は,分析的・総合的に診断することが可能になり,しかも,そのテストが妥当性・信頼性・実用性の高いものであれば,より客観的なデータが得られ,科学的な診断として価値のあるものになるであろう。

しかし,検査結果は,あくまでも被検者の成長発達途上における一時期,一断面で静止した状態での測定にし万すぎないものであり,全人格として把握することは困難なことである。従って,検査によって得られた資料は,行動観察や面接における主観的な判断のひずみを補正し,理解の不十分さを補って,科学的な裏づけ,より深い話し合いをつくる意味で行われるべきである。

5.事例

(1) 学業不振児(中学生)

学校生活の中で,子供にとって最も深刻な問題は,「勉強ができない」「授業がおもしろくない」といったことなどである。学校生活の大部分が,授業で占められていることを考えると,当然のことであろう。

学業のふるわない子供たちは,学校生活全般の中で,不適応を起こしやすく,そこから多くの問題を生じることにもなりかねないのである。

ここでは,学業不振の背景や,その指導のあり方を探るために,図2のようなテスト・バッテリーを編成して解釈や考察を試みた事例を紹介する。


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