学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-031/222page
おこし,それが早期に改善されないままに,悪循環を重ね,不振の輪を広げてしまっているのである。
一般に,学業不振の背景としては,
○ 性格的要因(意志が弱く意欲がわかないなど)
○ 環境的要因(親子・友人関係に問題があり,落ち着けないなど)
○ 身体的要因(虚弱または視力・聴力に障害があり,根気が続かないなど)
○ 学習方法上の要因(基礎学力が定着していない,学習のしかたに問題があるなど)
などが考えられる。そして,実際には,これらの要因のうちのいくつかが,重複している場合が多い。
No.14の子供についても,学習を阻害している何らかの要因があることは確実で,学習適応性検査(AAI)によって,その背景を探ってみたい。
図3のプロフィールをみると,どの領域も段階3以下である。偏差値も28で,学習適応性の水準は下で低い方に位置する。
全般的に低い中でも,家庭,学校環境,友人関係に問題がみられる。また,自主的態度,神経質的徴候,身体的健康といった個人の側にも問題がある。さらに,学習態度面では,学習意欲や計画にも問題を含んでいる。
従って,この子供の能力を阻害している要因として,
○ 学習方法や学習態度
○ 家庭,学校環境と友人関係からくる学習環境
○ 性格からとみられる精神身体の健康
の三つの面で,不適応をおこしていることが指摘される。
3) 援助指導のために
援助指導にあたっては,個々人によって異なる資質(能力,性格,身体,学業成就度等)と環境条件を勘案し,これらの条件下で,最適の学習効果が得られるような諸条件の配慮と,個別指導が前提となる。スタートは,能力発揮を阻害している要因となるものにメスを入れ,それを取り除くことからはじまることが妥当であろう。