学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-046/222page
とする目的からそれてしまい,いつのまにか,教師がふだん考えていることや,その子供に言いたかったことを伝えるだけに終わってしまいがちになる。
子供のために面接するのであるから,子供のために,貴重な時間を有効についやすように心がけたい。もし,こちらばかり話しをするようであれば,面接の目的からそれたことになってしまうので,面接の目的を自分でしっかりと意識することが大切なことである。
また,面接において,教師の精神状態が安定していないような時は,できるだけ面接を避けた方がよい。たとえば,同僚との人間関係がうまくいかずイライラしているとか,ある事件が起こったりして,そのために気持ちが動揺しているとかなどの時は,つい,こちらの感情が丸出しになってしまい,カウンセラーとしての基本的態度が忘れられてしまうからである。
3.面接への受け入れの段階
面接(カウンセリング)は究極において,子供の自己洞察を助け,精神的自立を促すことにあるが,初めから,「これから面接をしましよう」と構えては,話したいことも話せなくなるものである。だから,抵抗なく面接にはいるための導入が大切になってくる。
まず,自主来談(子供の方から相談したいと申し込まれて面接をする場合)を考えてみよう。
自分の悩みを訴え,相談にのってもらおうとしてやってくるのであり,すぐに本論にはいろうとする。この場合は,用件に入る機はすでに熟しているから,わざわざ雰囲気づくりのために時間を浪費する必要はない。
ただ,子供の方が言いよどんだら,
「何か心配ごとでもおきたの」
「まあ,すわって,どんなことを聞きたい(話したい)のかな,話してごらん」
とか,少しきっかけをつくってやればよい。
しかし,基本的には,どういうことから話し出してもいいという気持ちで,受けて立ち,待つ姿勢をこちらが示せば,子供は自分の方から話し出し,相談をもちかけてくるものである。