学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-049/222page
話してみたいがためらっている時がある。たとえば,「言ってしまおうかな。しかし,言ってみたところでだめだな」などと,自分で自分に語りかけているような時である。だから,「言ってみてもだめだと思っていることまで話す必要はありませんよ」と言わないで,
「でも,話してみたい,聞いてもらおうかなと思っていたら,思い切って話してごらん」
と応じなければならない。
相手にさからわないで,相手の心にせまろうとするから,そこに心の触れ合いが生まれ,信頼関係ができるのである。
2) 無理に話そうとしている時
せき払いをする,首をひねる,せわしくするといったような反応は,話さなければと思うあせりのあらわれであり,逆にいえば,話そうとしても話せないためのあせりでもある。こうした様子が感じとれた時に,「さあ,しっかり話してみなさい」では,少しも相手の気持ちにせまろうとはしていない。
「考えがまとまらないのなら,まとまってから話せばよいのですよ」
「話すのにためらいがあるのなら,腹が決まるのを待ってから話してください」
「時間は気にしないで,ゆっくり考えてから話してください」
「黙っていたい時は,そのまましばらく黙っていてもよいのですよ」
などといった言葉を相手に与えるべきである。
3) 興奮や悲しみでうまく話せないでいる時
訴えたいことをうまく訴えられないでいる時などは,しばしば,とぎれとぎれにしか話をしなかったり,「うっ」「うっ」という声しか出ず,あとは泣くばかりといったことがある。
このような時は,
「さあ,私にもわかるように落ち着いて話してください」
と励ますと,案外成功する。
4) 意見を求められた時