学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-051/222page
ければ,自己洞察を助け,自己決定を促すことはできない。
(1) 話を引き出す技術
1) うなずいたり,合の手をいれたりする
相手が話し始めたら,時々うなずいたり,「なるほど」「はあ,そうでしたか」「それからどうなりましたか」といった合の手を入れるとよい。
2) 必要なところでは質問を挿入する
相手をよく理解するためには,こちらとして,もっと知りたい点について質問をして,十分に話をさせなければならない。
ただし,相手を知るとは,相手がどんな状態におかれ,どんな気持ちでいるかを具体的に知るということである。従って,質問はつとめて具体的にし,具体的な説明を引き出すようにする必要がある。
たとえば,子供との面接で,話の内容が当然親に相談すべきものであり,教師に相談するのはおかしいと思った時でも,「それは,家の人に相談するのが一番だと思うよ。どうして家の人に相談しようとしないの」というのではなく,
「あなたのような場合,普通なら,両親のどちらかに話をすると思うけれど,何か話しにくいわけでもあるの」
と質問することによって,初めて子供は心情をわかってもらえたと感じるものである。
(2) リピートの技術
リピートとは,相手の訴えを,「今,あなたがいったことは,こういうことだったのですね」と,確認するような気持ちで,できるだけ適切に要約して問い返すことである。
1) 言い分を確かめる気持ちで
リピートの必要性から,形式に走り,リピートの入った形にすることにのみ一生懸命で,相手の真意をよく確かめないまま,面接をすすめれば,相一手の心に触れることはできない。
相手の理解を誤らないようにしょうとする真剣さのこもったリピートが必要なのである。