学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-059/222page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

生徒5 え,ええ,そうは思うんですけど。

先生6 自分で,もうだめだと思ったら,それこそおしまいなんだからなあ。

生徒6 ええ。

先生7 試験も近いんだから,しっかりしてくれよ。な,いいな。

生徒7 はい,わかりました。じゃあ。

このやりとりでは,先生は一生懸命生徒を励まし,さとしているのであるが,先生の言葉は,生徒の心に,どのように響いているであろうか。この生徒は,これからがんばって勉強するようになるであろうか。

生徒は,「そうですが」とか,「ええ」とか返事をしている。が,どうも先生のペースにまきこまれて,しかたなく言っているように、思えてならない。

助言が効果をあげるためには,その前提として,第1に,信頼←→服従の相互関係が成立していなければならない。

第2に,相手も,うすうす自分の問題や欠点について気づきかけている時に,そのことを指摘されると効果的であるというタイミングの良さが必要である。

そして,第3に,新しい知識や情報を提供して,意志決定の参考にするような場合に必要なのである。

そこで,助言をする場合にも,相手の気持ちや考え方がよくわかったうえで,つまり,両者のよい関係ができたうえで,絶対に確実なことを,しかも,相手に役立つかどうかについて,慎重に考えて言うことが大切である。

一般に,教師は,教えることになれすぎているためか,また,教師中心の人間関係が多いためか,とにかく教えなければ気がすまなくなったり,言いすぎてしまうことが多い傾向がみられたり,教師という立場や役割に熱心なあまり,つい,勇み足をしたり,気合いを入れすぎたりもする。

かといって,助言をどんな場合でも否定するものではない。また,無理をしがまんして押さえなければならないものでもない。要は,助言の効果と限界をどのくらい考え,意識しているかにかかわる問題なのである。

例えば,もう面接する機会が今回しかない,あとは当分会えそうにもないというような時は,相手から求められれば,今の自分で考えられる一番確実な,しかも,相手に役立つだろうと思われることを最後に言えばよい。また,相手


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。