学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-060/222page

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が自殺をするおそれがあるような時は,相手の気持ちをできるだけ理解しようとつとめたうえで,死ぬことはまちがっているというこちらの考えをなんとかして伝えなければならない。そして,どうしても死ぬ気になったら,必ず知らせてほしいというこちらの気持ちを相手に精一杯伝えるようにしなければならないのである。

2.受容的にきく

先生1 君,どうしたんだ?この間の中間試験の結果は,ずいぶんひどかったなあ。なんかあったのかなあって,気になってたんだ。

生徒1 すみません。勉強しなくてはいけないとわかっているんですが,時々,もう,完全に参っちゃって,もう,このままじゃ気が狂っちゃうんじゃないかって思って,勉強もなにも手につかなくなってどうしていいか,自分でもわからないんです。

先生2 うん,そう。

生徒2 まわりのことが気になるっていうか,ぼんやり考えこんじゃって,時間ばかりたっちゃって。

先生3 そう。

生徒3 成績も落ちていくでしょ。ひとり,取り残されているみたいで家の人も,勉強しろとか,勉強しているかとか,口を開けば,勉強のことばっかりでその勉強が手につかなくなって,こっちはあせっているっていうのに,本当に参っちゃうんです。

今度の場合は,最初のやりとりとはちがう会話になっていることに気づいたことだろうと思う。先生はただ相づちをうつだけで,別に助言めいたことや,指導しようという素振りをしていない。しかし,生徒は話を続けている。

このような受け答えは,「簡単(単純)な受容」といって,「うん」,「それで」,「そう」,「なるほど」といった相づちをうってきくだけでも,生徒はずっと話しやすくなる。それは,一生懸命きいてくれている,自分のことを考えてくれているという感じをもつことができるからである。そういう感じを生徒がもち,先生も親身になって考えようとする姿勢ができた時に,ラポート(お互いの間に,共感や信頼関係が生じている状態)ができたということができる。


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