学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-062/222page

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とが正しくわかってもらえ,受容されたと感じるのである。こういう時の喜びと安心感は大きく,それが,もっとわかってもらいたいという願いに発展し,話を続けてくれるのである。

4.沈黙は語る

先生1 今度はがんばろうと思ったのに,実力を出しきれずにくやんでいるんだね。

生徒1 ええ実は,試験の前にかぜをひいたのは,わけがあるんです。

先生2 そう,何かあったの?

生徒2 ええ,実は,父親がうるさく言うもんだから,外にとびだしちゃったんです。雨が降って,どうしようかなあと思ったんだけど,そのまま帰るのはシャクだったもんだから,しばらく,外をブラブラ歩いてたんです。

先生3 そう,雨の中を歩きまわってた。

生徒3 ええ,だいぶたって,母が公園まで迎えに来てくれたんです。母も迎えに来るのに,父親に気をつかうんです。すぐにたたいたりするもんだから友だちなんか,自分の部屋をもっているし,勉強の時なんか,まわりで気をつかってくれてるみたいなんです。ところが,家では逆で父親がいると,いつも皆でピリピリしてるみたいなところがあって,さっさと自分の部屋に入っちゃうんですけどね。だから,父親がおそい時は,仲び伸びしているんです。すぐにどなるもんだから本当にいやなんです。

先生4 お父さんが口うるさいんで,家の中が暗くなって,君も勉強どころじゃないというわけだね。なるほどね。

面接の中で,よく,相手が黙ってしまうことがある。先生からみて,ともすれば,時間の無駄,あるいは,意味がないという気がして,イライラしたり,あせったりしがちである。

そこで,この例で,沈黙のもつ意味などについて考えてみたい。


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