学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-078/222page
5.事例 一その1一
(1) 主訴 「登校拒否」(分離不安による)
(2) 対象 小学校1年女子 M子
(3) 問題の概要
○ 入学後まもないころから,登校時間になると腹痛を訴えて泣く。
○ 入学後二週間日には,登校時に腹痛やはき気などの心気症状を訴えて欠席することが見られる。
〇 4月中旬になると給食がきらいとか,体育の授業がいやだと言って登校をしぶるようになる。
〇 4月下旬になると集団登校をいやがり,母が学校まで連れていかないと欠席する。教室まで送っても,カバンを背負ったまま泣いて,母から離れようとしない。母が帰ると後追いする。
○ 交友関係が少なく,帰宅後は室内で過ごすことが多く,母や妹・年少者との遊びが中心となっている。
(4) 資料・情報
1) 生育歴
○ 出産時は熟産であるが,異常分娩で帝王切開で出産する。
○ 出産時の体重は,2250gで過小児である。
○ 幼少期は人見知りが強く,母の後追いをすることが多かった。
○ 出張の多い父とはなかなかなじめず,遊ぼうとしない。
○ 幼稚園の時,登園を拒否することが時々見られた。
2) 家族構成及び家庭環境
○ 父は定期便の運転手をしている。出張が多く帰宅するのは月に10日間位である。養育はほとんど母まかせになっている。
○ 母はやさしい性格で子供をたいへんかわいがっている。子供を離すことに不安がある。
〇 5歳になる妹がM幼稚園に在園中である。
3) 諸検査・調査
<本人>