学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-090/222page
第11章 問題をもつ児童生徒の指導
1.問題をもつ子供は特別な子供ではない
一口に,問題のある子供といっても,その発生,特徴,背景はさまざまである。これらの要因から何が問題となるのかを明確にしておかないと,いたずらに,子供にレッテルをはることになってしまう。だから,その行動が,だれにとって,どのような観点で,何を基準にして,問題なのかを吟味し,判断していくことが必要である。
それでは,問題をもつ子供といえば,どのような子供を思いうかべるだろうか。落ちつきがない,うそをつく,無口,乱暴する,みんなに相手にされないなどの不適応行動まで考えてみれば,多かれ,少なかれ,どの子供も問題をもっているといえよう。
問題をもつ子供は特別な子供ではない。この子供は,「指導してもだめだ」「手におえない」などと,子供の問題の程度を簡単に決めつけてしまうことは考えものである。どの子供も問題を内包しているという認識に立ち,けっして見捨てることなく,子供の自己確立への援助を積極的にすすめていこうとする姿勢が,問題をもつ子供へのかかわり方の基本になるのである。
2.反社会的な問題をもつ子供の指導
(1) 反社会的な子供
反社会的な子供とは,次のようにいうことができる。
自分の欲求を満足させるために,社会的規範に対抗する方向で行動し,緊張を解消しようとして,社会の慣習や規則にそむき,期待された役割を果たさず,時には積極的に,秩序の破壊まで行う子供である。
具体的には,極端な乱暴,一般にいわれる非行等の行動をする子供を考えることができる。
(2) 問題行動の事例から
青年前期(思春期)の中学生たちが,自我を確立する過程の中で示す,反抗や乱暴について考えてみたい。