学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-091/222page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

これらは,精神的に離乳し,独立をとげていくうえで,必然的にみられるものであり,教師や親は,この時期の特質を正しく理解し,対処していくことが望まれる。そのためには,その発生原因や背景を,十分に理解することが大切である。

1) どのような原因が考えられるか。

ア 欲求の変形

理想を求め,自分の思うように行動したいという欲求に対して,それをはばむものが生ずると,不満がつのり,反抗や攻撃といった問題行動へと発展しやすくなる。

親のしつけ,注意,教師の指示などに疑問を示し,批判や否定をするが,その反面,それを失うことは,つらいことであり,不安におちいる。否定しながらも認めてもらいたいという自己主張と,それに見合うだけの自己統制力とのバランスのくずれが,情緒的な不安定へと追いやり,反抗や攻撃を強めることになっているのである。

イ 独立への強がり

子供から大人へと成長する過程では,周囲の人たちの保護に依存している状態から抜け出し,一人前の大人として振るまい,周囲にも認めさせようとする気持ちが働く。それは,自己中心的な考えや,行動となってあらわれる場合もあるが,これが極端になって,周囲の制約や批判を受けると,反抗や攻撃的な言動となってあらわれる。

ウ 弱い耐性

幼い時から,甘やかされ放題に育てられると,青年前期になって,心理的に強い圧力がかかった場合,短絡的な反応をおこし,強い反抗や乱暴が起こりやすい。

「おもしろくない」,「いいなりにならない」などから,器物をこわしたり,乱暴をはたらいたりするのは,耐性の弱さに起因するところが多い。

いずれにおいても,自分が他人から認められないという不満や,家庭や学校における位置・役割が安定していないところがらくる疎外感が強く,そのはけ口として,反抗や乱暴などの形での自己主張が行われることである。


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。