学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-092/222page
特に,不満や疎外感が長期にわたって,子供の心の中にうっ積されているような時には,ふとした刺激が契機となって,攻撃や暴力に発展してしまうこともある。
2) 指導にあたって
ア 内面に目をむける。
反抗や乱暴といった問題行動を,表面にあらわれた現象面からのみ解決をはかると,無理を生ずることもある。
「おもしろくない」「頭にくる」といって,器物をこわしたり,攻撃的に振るまう子供を,たんなる力による「だだこね」と理解してはならない。不安,緊張,かっ藤などに,正しく目をむけながら,理解していくことが大切である。基本的には,このことが,きめ細かく行われることによって,著しい不適応への大きな歯どめになることが多い。
イ あたたかさと厳しさを
よくないことはよくないと,はっきり指導できる厳しさが大切である。この厳しさは,悪い子供として,まったく突き放すことではない。あたたかな愛情で接することを軸とし,何かをしっかりと守らなくてはならないという義務感を問いかけることであり,人間としての生き方を考えさせることでもある。これは同時に,子供に,欲求不満に対する耐性を身につけさせることにもなろう。
とにかく,どのような子供にも,必ず潜んでいる可能性を発見してやり,それを自覚させるようなあたたかい指導が,問題行動を解決する鍵となろう。
3.非社会的な問題をもつ子供の指導
(1) 非社会的な子供
非社会的な子供とは,次のようにいうことができる。
自分の欲求を満足させるために,社会との関与を減少する方向で,緊張を解消しようとする行動で,対人的・社会的接触を極度にきらう子供である。
具体的には,引っ込み思案,内気,憶病,無口,登校拒否などが,これに含まれる。